ICTで体育

平成27年度からスタートした情報コースでの新たな挑戦。ICT機器を駆使して、より楽しく、より自発的な学習を目指して様々な授業が展開されています。今回はそのうちの1つ、目賀田先生の体育の授業を覗いてみましょう。iPadはどのように活用されているのでしょうか。授業のテーマは「マット運動」です。

授業担当 目賀田先生 体育科教諭 2015/09/24

自分を見る武器

自分を見る武器

体育の授業にiPadを使うと聞いても、ピンとこない方も多いかもしれません。目賀田先生も最初は色々模索を重ねていました。それでは本校体育科教諭、目賀田先生はどのようにiPadを活用しているのでしょうか。

「つもり」をなくす

「つもり」をなくす

今日の体育の授業は体育館でマット運動。いつも通り体操から始まり、「前転」の練習が始まりました。何度かモデル演技や練習を繰り返したあと、目賀田先生は皆を集めて説明します。
「自分ではまっすぐ立っているつもりでも、実は少し歪んでいたり足が曲がっていたりする。前転も一緒。足を閉じているつもりでも、理想的な回転をしてるつもりでも、実はできていないことの方が多い。次はiPadでそれを確認しよう。」

自分ではできている「つもり」が生徒には多い。自分の姿を動画撮影し見直すことは、この「つもり」を無くし、上達のスピードが確実に上がると目賀田先生は言っていました。

ふりまわされるな!

ふりまわされるな!

指示の直後、生徒たちにある問題が起きました。iPadを手にした生徒たちは前転の方法ではなく撮り方に集中してしまったのです。「どうやって撮ったらよいだろう。」「どこから撮ったらよいだろう。」
すると目賀田先生はすかさず再度集合させます。「みんなは今なんのためにiPadを使っている?動画作りか?iPadを手にした途端、目的を忘れてしまっている。機械に振り回されるな。iPadは武器であり道具なんだから、目的を見失ったら意味がないぞ。」生徒は、はっと自分たちが取ってしまった行動に気付かされたようでした。

改めて実習がスタート。すると、明らかに生徒の様子が変わっていました。さっきまで、あまり自主的に前転を行わなかった生徒たちが一斉に取り組みだしたのです。生徒たちは iPadなどの機械を触りだすと、つい操作に夢中になってしまいがちです。もちろんリテラシー向上の授業であればそれでも良いのですが、今回の目的はあくまで「前転」。目的意識を強く持った生徒たちは、iPadを利用してより効果的に練習を行うことができるようになりました。

自然とたどり着いたアクティブラーニング

自然とたどり着いたアクティブラーニング

目的を明確に持ち、生徒たちは自分たちで話しあい始めました。それまでマット運動は、不得意な生徒は教師にやらされる感覚が強かったそうです。しかし、映像として自分の姿を見ることで、「もっとこうしたらできそうだ。」と自ら率先してやるようになっていました。iPadを活用することで、先生に「やらされる体育」から自分たちで高め合う「やりたい体育」へと変わりつつあるようです。

「もちろん技術指導も必要だが、今後の授業では生徒に目指すものを明示することがとても重要だ。明確にそれができれば、生徒は自分たちで課題を見つけクリアするために頑張ってくれる。私の役目は、生徒がズレないようにサポートしていくことだと考えている。」
指導上、自然とたどり着いたアクティブラーニング。目賀田先生が展開する、運動の得意・不得意関係なく生徒にとってやりがいのある体育は、取材をしていて本当に魅力的に感じました。


▼利用したアプリ
iSightカメラ iPadに標準インストールされているカメラアプリ

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