ICTで創作と表現

平成27年度からスタートした情報コースでの新しい授業スタイル。ICT機器を駆使して、生徒がより楽しく、より自発的な学習に取り組めるよう様々な授業が展開されています。今回はそのうちの1つ、蔵谷先生の国語の授業を覗いてみましょう。電子黒板とiPadを使ってどのように学習をしているのでしょうか。授業のテーマは「創作と表現」です。

授業担当 国語科 蔵谷先生 2016/09/30

真の理解を目指して

タブレット端末を使った授業というと、タブレット端末を教科書代わりに使ったり、ノート代わりに使ったりという授業のイメージが先行します。本校の国語科教諭、蔵谷先生の「国語総合」ではどのようにICT機器を活用しているのでしょう。今回取材した授業は、羅生門を用いた授業でした。

オリジナル羅生門

オリジナル羅生門

前回までの授業で生徒たちは教科書にある羅生門の一部分を勉強し、家庭学習でその先のストーリーを考え作ってくるように指示されていました。授業ではまずロイロノートで全員の意見を公開し読んでいきます。そのうえで、比較的類似した意見のメンバーでグループを組ませていました。クラスメイトがつくった文章を読まないと自分の意見と類似しているかはわかりません。生徒たちは真剣に読み進めメンバーを集めていきました。自然と読む力がついていきそうです。

人の意見を自分に取り込む

真の理解を目指して

グループができたら、次はストーリーを創っていきます。しかし、「続き」のストーリーを創るわけですから、本文の理解をメンバーでしっかりと共有しなければ作ることはできません。各グループを観察していると、生徒たちはおのずと「本文がこうだから、こうなる!」という発言が多々出ていました。
生徒は自分のストーリーを創る時点で、本文の理解に取り組みます。さらに他人の意見を聞くことで新たな発見があり、さらなる本文の理解へと進んでいっている印象を受けました。

人の意見を自分に取り込む

創り出す雰囲気はとても楽しそうでした。たまには面白いことも言いつつも、真剣に一つのストーリーを作りあげようとみんなが同じ方向を向いて進んでいきます。想像から文章にしていくのは本当に難しいことですが、生徒たち苦戦しながらも考えることを楽しんでいるようでした。この後の発表に向け、検討に参加しない生徒はみえませんでした。

みんなの前での発表・表現

みんなの前での発表・表現

ロイロノートスクールというアプリを使ってまとめられたストーリーを、みんなの前で発表します。羅生門のその後をどう考えて、どう創り上げたのか。まだまだ恥ずかしそうな班はあったものの、全グループがきちんと考え発表することができていました。時おり、蔵谷先生による付け加えの説明も交えながら「そうくるか!」と思うようなストーリーも登場し、とても楽しい発表会でした。

生徒が持っている力を伸ばすICT

私たちが「あ、こんなこともできるんじゃないか。」「こんなことしても効果的かもしれない。」と思った時、ICT機器が使えることで実現することができ、チャレンジしやすくなったと感じています。また、生徒たちがもともと持っている力を伸ばしやすくなったとも感じています。「チャレンジして新たな力をつけられるようになった」というよりは、「生徒を伸ばすためのチャレンジがしやすくなった」というほうが言葉としてはしっくりくるかもしれません。今後もチャレンジは続けたいですが、根本的なところはブレずに、生徒の力を確実に伸ばしていきたいです。

このような蔵谷先生の想いは生徒にも自然と届いていることでしょう。


授業で主に利用したアプリ 「ロイロノートスクール」

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